春になると、少し落ち着かなくなる。
理由は、うまく言えない。
ただ、どこか定まらない感じが残る。
朝の光はやわらいで、
窓の外も、ゆっくりほどけていくのに。
それを見ている自分だけ、
少し遅れているような気がする。
軽くなってきたはずなのに、
足元が、すこし頼りない。
ふわっと浮いたまま、
一日が過ぎていくような感覚。
こんな感じ、ありませんか?
いい季節のはずなのに、
なぜか気持ちがついてこない、あの感じ。
冬のあいだは、気づかないうちに少し力が入っている。
寒さに合わせて、体も心も、
静かに縮こまっている。
それが春になって、先にゆるむ。
でも、心のほうは、そんなにすぐ動かない。
このずれの中にいる時間が、
あの落ち着かなさになるのかもしれない。
うまく切り替えられていないわけじゃない。
ただ、まだ途中にいるだけ。
そう思えると、少しだけ呼吸がゆるむ。

この時期は、無理に整えようとしないほうが、
うまくいくことが多い気がする。
何かを足すより、少し余白を残しておく。
予定を詰めすぎないとか、
静かな時間をほんの少し取るとか。
たとえば、朝の光をそのまま眺めている時間。
それだけで、
少し戻ってくる感じがある。
温かいものを口にするときも、
少しゆっくりになる。
強いものより、
やわらかいものに手が伸びる。
春は、整える季節というより、
ゆるんでいく途中。
落ち着かない日があっても、
そんなに気にしなくていいのかもしれない。
遅れているわけでも、乱れているわけでもない。
ちゃんと季節の中にいるし、
ただ、その途中にいるだけ。

